陽平コラム⑭ 映画見ました
映画観ました①
『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』
ホームページをご覧の皆さん、明けましておめでとうございます。
今年一年も宜しくお願いいたします。
皆さんが健康で、笑って過ごせるように祈念しております。
例年より暖かい冬で、年末年始と過ごし易い天候が続いています。
おかげで正月気分は今一つ盛り上がりませんでしたが、この穏やかな気候が続いて欲しいものです。
クリント・イーストウッド監督の硫黄島を舞台にした映画、『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』を観ました。
どちらも素晴しい映画で、同時にまた、とても疲れる映画となりました。
特に『硫黄島からの手紙』は、観ていると言葉に出来ない感情が無数に沸き起こり、劇場を出るときにはくたくたになりました。
これまでもハリウッドの巨匠たちにより多くの戦争映画が撮られました。
スタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット』、フランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』、オリバー・ストーンの『プラトーン』、スティーブン・スピルバーグの『プライベート・ライアン』、テレンス・マリックの『シン・レッド・ライン』等、どれも素晴しい映画でした。
戦争への強い反発、拒絶感が感じられました。
イーストウッドの今回の作品はこれらの名作たちと比べると、地味な印象がしました。
そこには観客の感情を揺さぶろうとか、これが表現したいんだという様な意思をほとんど感じませんでした。
物語は登場人物たちの意思や思いを顧みずに、淡々と進みます。
一般的に物語を盛り上げるために必要と思われる要素はほとんどありません。
大きな起伏も心を締め付けるような悲しみも大活劇も大どんでん返しもありません。
それでいながらと言うべきか、だからと言うべきか迷いますが、これほど観ていて考えさせられる映画もありませんでした。
戦争がとてもリアルで身近なものとして感じられました。
主人公たちが日本人だったからでしょうか。
主人公の一人、二宮和也が演じた西郷二等兵には、現代の私たちに近い考え方をした人物に描かれていた様には思います。
私と年齢も近そうですし、感情へ訴えるための装置して唯一、働いていたかもしれません。
しかし今になって考えると、もっと大きな理由があったと感じています。
まだ、その理由を言葉に代えることは出来ません。
もやもやとした黒い影として、私の心にいまだに棲みついてはいますが、それを言葉に代える自信はありません。
言葉にした途端に、それは陳腐でありふれたものに姿を変えるような気がします。
「今の日本は彼らが作った」、「彼らの姿こそ日本人の魂だ」などと、短絡的な考えに走りたくもありません。
戦争について考え、自身について考え、戦争で戦った者達について考える。
平和を享受している私たちはそこから始めなければいけないと思います。
戦争は今現在も世界中で起きています。
当事者には直接のうらみつらみがあるでしょう。
肉親や友人を殺されれば、当然のことです。
平和な国に生きているからこそ、何も出来ない歯がゆさを抱えているからこそ、このもやもやを心に刻まなければならないと思います。
『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』を観てください。
何かを感じるのは、それがたとえ言葉に出来ないものであったとしても、全ての第一歩です。