陽平コラム⑬ 秋のおすすめ読書.2
日中の適温とは裏腹に朝晩の冷え込みが厳しくなって来ました。
一年で一番美しく、嫌な季節がすぐそこまで近づいてきたようです。
インドアにはもってこいの季節です。
過ぎ去りし一年を思いながら、部屋で読書はいかがでしょうか。
前回のおすすめ小説から少々経ちましたが、今回は読みやすいエンターテイメントな作品を紹介したいと思います。
『スワッグ』 エルモア・レナード
自動車泥棒の主人公が、ひょんなことから知り合った男と強盗稼業を始める話です。
武装強盗として成功と幸福をつかむための十則を考え、それを基に2人は強盗として成功していきます。
2人は酒とバラ色の日々を満喫しますが、その後には…。
基本的にはハードボイルドですが、ただの犯罪小説とは一味も二味も違います。
まず、登場人物は曲のある人物ばかりです。それらの曲者を作者が独特の軽妙なストーリー展開や会話等で、風変わりだけれども肉付けのある不自然さの無い話に仕立てています。
レナードの小説には彼にしか出せない独自のテンポやリズムがあり、その独特さから「レナード・タッチ」なる言葉まで在る程です。
読んでいると知らない町の路地裏に迷い込んだような感覚を覚えます。
他の作品もほとんどが犯罪に絡んだものですが、どの本にもらしさが満載されています。
読んだ後に胸にぐっときたり、人生観が変わるなんてことはありませんが、楽しめることは請け合いです。
スティーブン・キング
ご存知「モダンホラーの帝王」、スティーブン・キングです。
この人の小説は凄いものばかりで、何か一冊というのはとても難しいです。
キングは多筆家で、正確ではないですが、これまでに30冊以上の小説を出版しています。
もちろんほとんど全て、ホラーや超能力、SF等オカルト的な要素がメインとなっています。
そして多くの場合、とても長い小説になります。
情景や人物の描写がとても細かく丹念なのが長くなる大きな理由ですが、そのおかげでホラー小説なのにとてもリアルで、どこか遠い所で起きている話という感じがしません。
この足元から忍び寄る様なリアルさはホラーやSF等の小説では(に限りませんが)とても重要な点で、もしかしたらと思わせる様な説得力の無い話には怖さを感じたり、感情移入したりすることは出来ません。
ネオンが灯る人通りの多い道から一本それ、急に外灯も騒音も無い道に入ってしまったことはあるでしょうか。
後ろから来る足音や木葉のこすれる音が必要以上に気になる瞬間です。
都会で生活する人にはあまり無い経験かもしれません。
キングの小説を開けば味わえます。
以下に特に好きなキング作品をキーワードと一言感想と共にあげます
『呪われた町』 吸血鬼(一番好きな話です)
『ファイアスターター』 超能力(追い詰められていく過程がハラハラします)
『デッド・ゾーン』 超能力(とても悲しい話です)
『IT』 怪物(凄いです、たとえ怪物が出なくても凄い小説です)
『ランゴリアーズ』 SF(登場人物達の個性が光ります)
『霧』(短編集『骸骨乗組員』) 怪物(これ読んで以来、霧が怖いです)
『グリーン・マイル』 超能力(映画の何倍も胸に迫ります)