キリン社会保険労務士事務所 コラム

陽平コラム⑫  サッカーアラカルト.2

欧州サッカーの最新モード

現代は個性の時代とはよく言われることです。
確かに生き方や考え方から髪型、ファッションに至るまでで人とは違った個性的な人は多いかも知れません。
個人の意思や権利が尊重される様になるに従い、それぞれ思い思いのやり方でというのは容認されやすくなっています。
その一方で、これほどランキングや流行が注目されている時代も無いのではないでしょうか。
映画や本、CDはもとより、恋人にしたい俳優や上司にしたい有名人等までがランキングになっています。
各季節の前には流行の色やスタイルが大々的に発表され、実際に街にはその通りの姿を見かけることが出来ます。

ボーダレス時代に

サッカーの世界でも流行り廃りとは無縁ではいられません。
一昔前ならば、ヨーロッパ各国のリーグには、流行よりもこれという特徴がありました。
イタリアはカテナチオと呼ばれる人数を割いた堅い守備。
イングランドには中盤省略のロングパスとゴール前での激しい空中戦。
スペインではディフェンスは緩く、テクニック重視の中盤を軸にした短いパス交換。
しかし、ヨーロッパが統一に向かい、ボスマン判決(※注1)によってEU圏内の選手に外国人枠が無くなると、各国のリーグもボーダレスな状態になりました。
今では、ロングボール戦術を取るクラブはイングランドにほとんどありませんし、イタリアも攻撃に人数をかけるようになり、スペインは守備に比重をかける様になりました。

※注1 1990年、ベルギーの2部リーグのチームに所属していたジャン・マルク・ボスマンが契約切れの為他チームへの移籍しようとしたところ、所属クラブが選手の所有権を主張してこれを阻止した。
ボスマンは同国の裁判所へ提訴し、勝訴した。
その後、UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)を相手に
①契約切れの選手の移籍の自由化(契約切れの選手に移籍金は派生しない)
②EU域内でのEU加盟国出身者の就労は制限を受けないというEUの労働規約をサッカー選手にも適用すべき(EU出身者は外国人枠に該当しない)
という内容の訴えを欧州司法裁判所へ提出し、95年に完全勝訴したもの。
この判決により、他国リーグへの移籍が盛んになり、スター選手はビッグクラブに集中した。

流行は攻撃的

ヨーロッパのビッグクラブでの最新の流行は攻撃的サッカーです。
多くのチームが前線に3人の選手を残し、ピッチを幅広く使ったサイド攻撃を意識しています。
90年代には不遇だったウイングも花形のポジションとして復活し、攻撃の中心的役割を担っています。
昨シーズン、リーガ・エスパニョーラ(スペインのリーグ)で優勝したバルセロナはロナウジーニョとメッシ、プレミアリーグ(イングランドのリーグ)の覇者チェルシーにはロッベンとジョー・コールと、ウイングのポジションに優れた選手を擁するチームが好成績を収めています。

そして昨今の攻撃的サッカーと表裏となっているのが、守備時に積極的なボール奪取を試みるゾーンプレス戦術です。
前線の選手からどんどんボールを持っている選手へプレッシャーをかけていき、出来るだけ相手ゴールに近い位置でボールを奪い、奪ったら直ぐに攻撃に移るというものです。
攻撃のための守備という意識が高く、選手たちは羊を追込む牧羊犬のように巧みにボール保持者を孤立させていきます。
この戦術の鍵の一つは運動量で、フォワードの選手たちにも機動力と瞬発力、そしてなによりも持久力が求められます。
ゴール前でだけ輝く純粋なストライカータイプは居場所を見つけにくいかもしれません。
ロナウド然り、オーウェン然り。

バルセロナは必見

現在、一番完成されたチームはリーガ・エスパニョーラのバルセロナです。
前述のウイングに位置する2人に機動力抜群のフォワード、エトーが絡む攻撃は華麗で迫力に満ちています。
中盤のセンターでは、デコとシャビが持ち前のテクニックとパスセンスで、チームをコントロールしています。
組織力も抜群です。
守備時には息の合った連携でボールを絡め取ります。
スーパースターの多いチームは珍しくありませんが、このチームはスーパースターによるスーパーなチームです。
2列目、3列目の選手も次々にゴール前に飛び出して来て、観ていてこれほど楽しいチームはありません。
スリリングでしかも、強いんです。
昨シーズンはリーグとチャンピオンズリーグの2冠を達成し、名実共にヨーロッパ最強クラブとなりました。

今シーズン、チャンピオンズリーグやリーガ・エスパニョーラで戦うチームにとってストップ・ザ・バルセロナは大きなテーマとなるでしょう。
あの津波のような攻撃は、ゴールエリアに入られたら止めようがありません。
中盤でパス回しをブロックして前線の3人を分断、攻撃ではボールを取りにくる相手をいなしながらオーバーラップして来た選手の裏のポジションを狙うということが出来れば勝ち目はあります。
言うは易し、行うは難しなんですが。

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