陽平コラム② W杯、采配の妙~成功編~
例年通りの暑い夏がやってきました。
寝苦しい熱帯夜の日々が続いています。
「熱帯夜」と書くと涼しげな雰囲気が出ますが、「ねったいや」と口に出すとやっぱり暑苦しいものです。
さて余談はこの辺りにしまして(余談といえば全て余談ですが)、前回に続きまして、今回もサッカーワールドカップ・ドイツ大会の話です。
サッカーにおける監督の重要性はどれくらいのものでしょう。
選手選考、戦術の選定、チームの雰囲気(モチベーション)作り、対戦相手・戦況の見極めなど必要な要素は多岐にわたり、そのどれもが勝てるチームには欠かせないものです。今大会にも世界を代表する名監督たちが参加し、サッカーというスポーツの緻密さを教えてくれました。
決勝トーナメントに入ってからは、1点を争う接戦が続き、各監督たちの手腕が目立ちました。
組織力で頂点に
優勝したイタリア代表のリッピ監督はイタリアの名門クラブ、ユヴェントス(現在は泥沼中)で90年代中期に黄金時代を築いた名将です。
当時、ヨーロッパを席巻したプレッシングスタイル(※注1)を、この大舞台でも存分に披露してくれました。
優勝候補と呼ぶには何か物足りないイタリア代表を、組織力で負けないチームに仕立て、見事優勝の栄冠を勝ち取りました。
強気な選手交代も光りました。
準決勝のドイツ戦で、延長に入ると中盤の選手2人を本来はフォワードの選手と変えて、終了1分前の劇的な決勝ゴールを演出するなど、試合の状況を見極める目とその場その場での冷静な判断力は、「優勝監督」に相応しいものでした。
※注1 守備時には前線から積極的にプレッシャーをかけ、ボールを奪うと相手の守備陣形が整わないうちにシュートまで持ち込むというスタイルで、選手間・チーム内での徹底した約束事と豊富な運動量が必須条件
今でも熱い男、クリンスマン
そのイタリアに敗れたとはいえ、ドイツ代表のクリンスマン監督(元ドイツ代表のエースストライカーでスーパースター)も積極的な若手登用と攻撃的な試合運びで選手・観衆の心を掴みました。
監督経験のなさを不安視する声も大きかったのですが、固い意志と有り余る情熱でチームを見事にまとめました。
見方のゴールに子供のようにはしゃぐ姿に、見ているこちらまで嬉しい気持ちになりました。
前回の日韓大会での優勝監督スコラーリ(ポルトガル代表監督、当時はブラジル代表監督)、力技で日本戦を逆転したオーストラリアのヒディング監督も強い印象を残しました。
ポルトガルはこれまでのテクニック主体のチームから固いディフェンスが持ち味のチームになってしまったので、残念な気持ちもありますが、他の強豪国並みのストライカーがいれば、優勝出来たのではないかというほどに攻守にバランスの取れた好チームでした。
オーストラリアもアグレッシブに自分たちの長所(空中戦というか肉弾戦ですね)を生かした戦いを徹底して、決勝トーナメントに進みました。
やっぱり一言言いたくなって…
不本意な結果に終わったとき、チームを一番ドラスティックに変えるのは監督交代です。
もちろん、監督に責任を押し付けるための人事もありますが、チームを根底から変えることができるのは監督だけです。
選手たちを生かすも殺すも、監督の采配と判断にかかっています。
「中田英寿は本当に力を発揮できたのか?」、「なぜフォワードがゴール前で疲れきってしまったのか?」、「日本代表は本当にこんな実力なのか?」。その答えは『神様』だけが知っているといったところでしょうか。