キリン社会保険労務士事務所 コラム

この映画を観る⑪

名監督シリーズ③
ルキノ・ヴィスコンティ 

ホームページをリニューアルして、最初のこの「この映画を観る」は、名監督シリーズです。
ヒッチコック監督の次は誰にしようかと3年近く迷いに迷ったあげく、ルキノ・ヴィスコンティに決めました。

ルキノ・ヴィスコンティは、「映画史上の偉人伝記シリーズ」全30巻物がもしあれば、多分21巻目くらいに取り上げられるであろう巨匠中の巨匠です。
彼の作品は、僕が二十歳くらいの頃(1980年頃)にブームで、なぜか一般的な人気がありました。
巨匠は、1976年に亡くなっているし、今思うと当時なぜブームだったのかよくわかりません。
たぶん、埋もれた名作を取り上げていた「岩波ホール」が「家族の肖像」を上映したのがきっかけだと思うけど、それも定かではありません。

岩波ホール
ちなみに当時、岩波ホールにはよく行きました。
アンゲロプロス、トリュフォー、ベルイマンといった監督の作品を初めて観たのは、この岩波ホールでした。
ヴィスコンティ作品では「山猫」を岩波ホールで観ました。

貴族のつくった貴族の映画
四半世紀前のちょっとしたヴィスコンティ・ブームのおかげで、僕は若い頃に彼のほとんどの作品を観ることができました。(たしか池袋の名画座によく観にいった記憶がある。)
しかし、「ルードウィヒ」とかのヴィスコンティ作品を観ればみるほど、僕は「なんでこんな映画がこの日本でブームになるのだろう」と首をかしげずにいられないのでした。
名作「山猫」なんかもそうですが、彼の作品には、いわゆる貴族や貴族階級の世界を題材にした作品が多く(ヴィスコンティ自身がイタリア王家より古い歴史をもつ貴族の末裔)、映画の登場人物の生活があまりにも僕ら「一億総中流階級(当時)」の日本人の生活とかけ離れているし、彼ら(映画の主人公ら)の悩みとかもなんだか全くピンとこなかった、というのがその理由です。

ベニスに死す
ありがたいヴィスコンティ巨匠の作品を次々観せていただいても、「ヨーロッパ貴族の考えていることはさっぱりわからん」という困った一庶民君だった僕ですが、「ベニスに死す」を観て、ぶったまげました。
「これぞ本当のほんもの、映画の中の映画、ヴィスコンティはやはりただ者じゃなかった(調子いい)」と大変感動・感激いたしました。
当時(1980年頃)、ヴィスコンティが嫌い(たぶん)な有名な映画批評家が「ヴィスコンティはもともと舞台演出家だからまぁしょうがないけど、彼ったら映画的センスが全くないね」と何かに書いていて、僕は「お前は「ベニスに死す」を観たことがあるのかっ!」とその本に向かってどなってやったことがあります。
困った一庶民君だった僕もベニス1本でヴィスコンティ信奉者になってしまったのでした。
この「ベニスに死す」は、しばらくの間「僕の好きな映画ベスト5」に常に入ってました。

若者のすべて
そして「若者のすべて」です。
これも僕の大好きな大好きな1本です。
ヴィスコンティの、というより映画史上の傑作ですね。
「太陽がいっぱい」と並んでアラン・ドロンの初期の代表作でもあります。
「家族の肖像」「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「揺れる大地」とか他にも名作は多々ありますが、ヴィスコンティの傑作といえば、僕は「ベニスに死す」と「若者のすべて」を挙げます。
「ヴィスコンティの」というより、映画史上の傑作といって間違いないでしょう。
まだご覧になっていない方は是非観てくださいね。

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